2007年8月24日

そういえば、こんな話を思い出した。毎日何かを思い出してばかり。
何年か前、友人と一緒にアップルパイを作ったことがあった。それはそれは立派なもので、リンゴを何個も使い、かなりの大きさになったものだ。砂糖で煮詰めて生地の上にのせて焼いて。夜な夜な作り上げたそれは、どこのケーキ屋よりも美味しかった。出来上がった後、友人は「10年後、お互いに恋人がいなかったら一緒にケーキ屋をやろう。」と言った。なぜ恋人がいないことが条件なのか分からなかったが、世界で1番上手いアップルパイを作り上げたことで舞い上がって、そんな約束をした。何年か経って、今ではそうそう会うこともなくなり、忙しい友人はそんな話憶えていないかも知れない。それよりもまず、自分で言っていた条件をクリアできていないから、夢のケーキ屋は開店できそうもない。格闘家のアップルパイ。


食によるコミュニケーションは基本だというのは誰かの言葉だが、確かに。匂いや味というのは時に恐ろしいもので、不意をついて記憶を蘇らせる。アップルパイの味はひとつ。