2016年12月15日



映画「スポットライト 世紀のスクープ」。
アメリカの新聞『The Boston Globe』の記者たちがカトリック教会の醜聞を暴く実話を基にした作品。
カトリック信者が多いボストンで、何十人にも及ぶ神父による児童への性的虐待、更にそれを隠蔽する司教や教会、司法の存在を暴露する新聞記者の姿を描いている。




事件は日常的に起こっているのに、詳らかにならないのはなぜか。
何世紀にもわたる、「教会」という絶大な力を持つ組織の隠蔽力の強さ。

映画のなかでは、被害者の証言という形で虐待の事実が語られ、具体的な映像の描写はない。
それゆえ、そのおぞましい光景は映画を観ている者それぞれの頭のなかに想像として描かれることになり、変態神父の存在に反吐が出る。

この映画を観終わったあとの最初の感想は、
人間てやっぱりろくでもねえな、だった。

ただ、ひとつひとつ、途方もない真実への道を一歩一歩進んでゆく記者たちの姿は、感服するというか。
これまでも、そしてこれからも、教会にその深い罪を償わせることはおそらくできないのかも知れない。
しかし、見て見ぬふりをされ、闇に隠され続けた真実を光りの下に引きずり出した記者達のその行為は、とても眩いものだった。


編集長を演じたリーヴ・シュレイバーが特によかった。
信念を持った男を静かに熱演している。