2009年4月16日

昨日アルバイトのとき、外の空気を吸いたくなって、部屋の外の階段を上ってみた。そういえば今まで上ったことがなかったんだ。階段からは、隣りの家の庭や近所のビルが見えた。いつも見ている建物でも、そっち側(階段に上らなければ見えない角度)を見ると全然違った景色になる。はっとした。月の裏側を見たら、やはりこんな感じなのだろうか。そして、目を奪われたのは一番背の高い建物だ。表から見ると下のほうの階は飲食店が入っていると分かるのだけれど、裏側はこうなっていたのか、と気づく。だいぶ古そうなビルで、非常階段のようなものは角度が急で赤く錆びている。しかもその階段が、最上階ではドアじゃなくて大きめの窓に繋がっている。その最上階が気になる。なんだか人が住んでいるような気がしたからだ。階段の途中にある踊り場(と言える程広くはない。ベランダみたいなスペース)には物干し用の紐がかかっているし、大きな窓の曇りガラス越しには、ジーンズなどのズボンが掛かっている。こうなると中が見たくなる。部屋の中もきっと相当古いはずだ。でも陽当たりはいい。高い位置だから景色もいいはずだ。もしかしたら、自分がこうしてあの遠くに見える建物の一室の中を想像している瞬間も、現にあの部屋では住人が何かをしているかもしれない。曇りガラスの向こうで何かが動いたりしないか、ずっと見ていた。あわよくば住人が下からトントンと階段を上って来ないかな、と思っていた。でも、何も起こらなかった。