2012年4月27日

たしか高校生のころに見た、日本テレビの「スーパーテレビ」というドキュメンタリー番組で13歳の頃から25年間引きこもっている北村五朗さんのことを、自分はなぜか一年に何回か思い出す。正確には、北村さんの「何か、自分に役割があるというのは、うれしいことです。」と、体は向いているけれど話している相手の目を見ず、どこか違う方向を見ながら言っていた言葉を思い出す。あと、毎週決まった曜日に、父親が買ってくる鰻重弁当を、緑色の古い電子レンジで温めて、大きなスプーンで米粒ひとつ残さず綺麗に食べているところも強く印象に残っている。渋谷の高級住宅街の一軒家、降り積もった庭の雪を見るために雨戸を開ける北村さんは、ひとと接したくないというのではなく、おそらくむしろ、ひとが好きなんだろうなと思えた。あれから10年近く経って、北村さんは50歳くらいになっているはずで、いまは何をしているだろうか。元気だといいな。