2007年11月28日

ひとりで居ることに慣れているとは思えない。しかし人と一緒に居ることはできない。ならばどうすればいいのだろう。何をどうしたら、もっと、生きやすくなるのだろう。頭が少し痛い。いまのところ時間はある。このまま朝がくる前に抜け出して、電車に乗ってしまおうか。そんなことをする勇気も力もないだろう。言葉はひとつしか話せない、身を守れるわけでもない、何ができると言うのか。少しは前に進んでいると思っていたのに、実際は円の上を何周もしているだけだったのだ。終わりもなければ始まりもない。本当のことしか言いたくないと誓っているのに、無神経になれるほど強くない。アーロン。素直すぎると誰かが言っていた。それでも嘘のつき方を知っている。何ができるというのだ。ふざけた連中は今夜ものうのうと眠っているというのに。頭が悪いのは知っている。賢くない。文字は読めるけれど、本は読めない。この意味が分かるだろうか。何かが破綻する音がした。確かに聞こえた。嘘つきは許さない。許さない。頭が痛い。父親について聞かれたアーロンは、あいつはよくない、とだけ言ってそれきりだった。アーロンはどこに行ってしまったのか。呼んでも返事がない。彼は紅茶ばかり飲む。自分はコーヒーばかり飲む。最後に話したのはいつだっただろうか。いや、話したのではなく独り言だったのかも知れない。彼のカップがきれいだった。部屋へ向かう帰り道、見上げた空に、そのまま滲んで消えてしまいそうな星がひとつだけあったのだ。世界はなんと美しいのだろう!なんと素晴らしいことか!そのとき全てが自由なんだと分かったよ!世界は終わる!このふざけた世界をつくり直そう!必要なものを持って行こう!本とベッドとキッチンと何枚かの写真と紙とペン。アーロン。もうすぐ会えるんだ。狭いアパートにも窓がある。そこで植物を育てよう。名前は知らないから、自分たちでつけよう。嘘を言ったな!許さない!機会なんてものはないんだ!嘘つきは許さない!すべてのことを憶えている。黒いシャツとベージュのズボンだ。あの街にはもう行かない。近づかない。夜が来る。朝は来るかも知れない。初めて音で景色が見えた。空が何色でできているか知っていると言った彼は、無表情だった。アーロンには何があったのか。自分には何があったのか。何が。つまり自分でなくなる必要があるということで、そうするにはどうしたらいいのか。もう1人。ロイ。ああ、底に居るということで、だからこんなにも静かなのだ。虫の声も聞こえない。そういえば昨日、虫を殺してしまった。自分からそうしたのか、偶然そうなったのか、笑い話にもならない告白だ。次から次へと問題は出てくる。なにをどう動かせば、もっと、生きやすくなるのだろうか。ロイは力を持っている。すぐ人を殴る。汚い言葉を吐く。守るために生まれてきた。それだけ。政治家は同じ顔をしている。自分がどこから来たのか。言葉をひとつしか知らない。アーロン。頭が痛い。すこし疲れた。明日は雨が降るんだ。こんなに冷えているからきっとそうだ。何をどこに持って行けばいいのか。よくもくだらない話をしてくれたな!耳を傾けた自分に反吐が出るさ!許さない!こっちを見ろ!許していない!どこに行けば会えるだろうか。それが分からない。生まれる前からずっと分からない。