2007年10月30日

渋谷、渋谷区立松濤美術館「Great Ukiyo-e Masters 春信、歌麿、北斎、広重」展。青山、Gallery5610「服部一成展 視覚伝達」。


どちらも、初めて行った場所だった。松濤美術館の展示の方は、予想以上によかった。普段(というか今まで)、日本画や浮世絵には大して興味を持っていなかったというか、あえて見るということはしていなかったのだけれど、なぜだかこの展覧会だけは、見に行こうと決めていた。しかし、ちょうど数日前にすべての作品の展示替えがされたらしく、替わる前のも見たかったと今更ながら思う。くやしい。作品数もそんなに多くないし、ゆっくりと見られた。そしてなにより、改めて、「線の美しさ」に気づいた。どの作品も見応えがあって、時代背景とか構図とかに関してはよく分からないけれど、とにかく色の美しさと線の美しさ、それに尽きた。どうしようかと本当に迷いに迷ったあげく、カタログを買った。迷ったのは、金額についてもそうだけれど、やっぱりカタログに載っているのは絵ではなくて写真な訳で(当たり前だ)。特に今回のような版画の作品なんかは、紙に、刷ったときに加わった力によって版の凹凸とかがついていて、それがとても美しかったりするから、それを写真でというのには限界があるわけで。それと、実際に見たときに感じた衝撃が薄れる、あるいは変化してしまうのではないかと、なんやかんやと考えてしまって。でも、カタログ自体がよくできていた。過剰な演出とか説明がないし、図版がほとんど。しかもページのデザインがかっこいい。紙の質もいい。1冊の本として成り立っていると思う。ということで結局買いました。


服部一成さんは、グラフィックデザイナーと称される人たちの中で、自分がはじめて知った人物だと思う。非常に勝手な意見だけれど、なんだか、いろいろな意味で思い出深い人となってしまった。服部さんの名前を知ってから、くるりのCDのジャケットをデザインした人だということを知った。
Gallery5610は上にも書いたとおり、初めて行った。地図を持たないまま、部屋を出てしまったものだから、駅からたどり着くまでにえらい時間がかかり、通りを1本間違えたことに始まり道に迷って、40分近く(!)歩いていた。やっとの思いでギャラリーに着いたら、迷っている間にそこの前を通っていたことに気づいて、自分が不甲斐なく思えた。ともあれ、初めて目の前で見る服部さんの作品(ポスター)は、色や線が洗練されているという印象をもった。あと、それらが組み合わさってできる形の面白さ。無機質のようだけれど、心地よかった。欲しいと思ったポスターは売り切れてしまっていたので、かわりにパンフレットを買った。とても薄くてデリケートな冊子なので、帰りの電車の中でも潰れたりしないように慎重に持って帰った。


振り返ると、今日は、線と色をたくさん見た日だった。




2007年10月29日

電車に乗ってきた男の子は白いシャツを着ていた。ズボンのポケットに財布を入れて、手には本を1冊持っていた。荷物はそれだけで、たまに外の景色を眺めながら本を読んでいた。



2007年10月28日

夜、江ノ島にある展望台に登って、町並みの景色とは反対側に回る。すると、恐ろしいほどの暗闇の海と空。この世で本当に怖いのは、こういう、自分の力ではどうすることもできない自然のありのままの姿を目の当たりにしてしまったときだと思う。登ったのはもう随分と前の話。けれどあの暗闇ははっきりと憶えている。本物の黒。




2007年10月27日

カーテンを開けて、雨が降っているのが見えるようにして眠った。ときどき風が強く吹いて、窓が濡れた。


1年前の今日、横浜に居た。知り合いのアトリエの最後の日で、そこにいた人に自分の作品ファイルを見てもらった。とても緊張したのを憶えている。その人が好きな作家さんだったから。感想が、あまりいいものではなくて、何日か落ち込んだんだった。その人の絵は自分の道しるべだった。何がと言われるとうまく答えられない。なんというか、紙の中の世界みたいなもの。ただ、絵はひとりで描くものだと言っていた。そんなことは分かっている。はずだった。


あれから1年、自分の位置はどこだろう。あれから少しでも移動できているのだろうか。




2007年10月26日

ここで日記みたいなことを書いているのだけれど、日記帳に書いて自分で読むのではなく、わざわざパソコンを使って書いて、しかもそれをネットワークにのせて他の人が読めるようにしている。日記なのに、よく考えれば少し奇妙なことをしているのかも知れない。内容は、その日の主な出来事とか、何か思ったことがほとんどだけれど、たまに、自分にしか理解できないような言い回しをして文章を書いてもいる。あることをありのまま言えなかったり、言いたくなかったりするのだ。そうして、それを読んだ人が居たとして、意味不明な文章だと思うだろうし、あまり気分がいいものではないとも思う。でも、その「読んでいる人が居るかも知れない」ということが、自分には大切な気がして、それでこそ、この日記が意味を持つのかなあと思う。




2007年10月25日

高校に絵を送ったあと、知人のアトリエに行った。いくつかの偶然が重なって知り合うことができた人。彼女は自分とはまったく違う絵を描く。そしてわたしはその絵が好きだ。彼女の絵を見ると、色をたくさん使って絵を描きたくなる。もっと自由に。コーヒーを飲みながら、いろいろ話した。お互いの絵のことや外国のことや住んでいるアパートのことなど。近所に雰囲気のいい喫茶店があるといいね、とか。4時間くらい居たかな。冬にお鍋をしたいねと言っていた。




2007年10月24日

あれだけ啖呵切ったように出掛けたのに、急用のために戻ってきた。くやしい。
蓮沼に行きたかった。あの海はきれいだ。海水や砂浜の質が格別きれいというのではなくて、なんというか、全体が。自分は泳げないし、人混みが苦手なので、海には大抵冬に行く。蓮沼は千葉に帰ると車で毎回のように行っていたのに、もう随分と長い間行っていない。だから行きたかった。また当分行けない。


千葉に帰ったのは、高校で絵の展示をすることになったから。先週の個展で展示した絵を何点か運んでもらい、展示作業をしてきた。本来、絵を掛けるような場所ではないところに展示するのは難しい。美術の先生と、あーでもないこーでもないと試行錯誤をしてなんとか形になった。作品数が少ないということで、「展示室P」にある作品も何点か展示することに。あれらが日の目を見るのは初めてだろうか。絵にいたずらされないか不安だけれど、大丈夫なことを願う。


と、一通りこの数日で思っていたことややってきたことを書いているのだけれど、気がつけば違うことを考えている。まるで、ここから先は入ってはいけないと言われたようで、立ち尽くしている。自分は止まってしまった。それが少なからずショックだったのかも知れない。本当は泣きたかったのかも知れない。でも堪えた。誰も悪くない。ただ、やるせなくなっただけだ。そんなこと分かっている。そういうルールだ。ルール。


というか、前回の日記に書いたことを実行しないと。これからその作業に移ります。




2007年10月21日

個展が終わりました。
この1週間でたくさんの人と会いました。自分は話すことが苦手なのですが、それでも来た人と話していて、そういう人たちの表情は、なんだか憶えているものですね。展示が終わった今、なぜだかよりはっきりと思い出しています。それと、自分の絵を気に入ってくれたという人に会えたことが、ただ嬉しかったです。絵の世界とか、よく分からなくて、それがよくないとか言われたりもしますが、自分はそういうことは大袈裟に言ってしまえばどうでもいいというか、あまり気にしていません。ただ、これからどうしようというのは強く感じています。生活とか、絵を描くこととか、他にもたくさん。いろいろなことを真っ白にしたい。
頭も気持ちも。そんな気分です。
まだ自分にとって今回の展示がどういうものだったのか、頭の整理がついていないのですが、来てくれてありがとうございました。


それで、明日からしばらく千葉に帰るので日記が書けません。またこっちに戻ってきたら書きます。


戻ってきたらやること。
1.大掃除(大変そう。)
2.WEBの更新(展示していた作品をアップしようと思います。)
3.先月行ってきたドイツとイタリアの写真を、小出しで公開するページを作る(うまくできるかなあ。)
4.どこかに行きたい。これは願望。いくつか気になるところがあって、京都(行ったことある)や金沢(行ったことない)や四国のどこか(行ったことない)
など。




2007年10月20日

生まれて初めて絵を買った。




2007年10月19日

自分の絵が手元から離れていくのは、大切な友人が転校していくのと似た感覚のような気がする。




2007年10月18日

個展の会場は地下にある。部屋の壁には自分の絵が掛かっていて、そこに来た人たちと話をしたりする。とても、きみょうな、夢を、見ているようで。これもあと少しで覚めてしまうと思うと、少し淋しい。それはやはり、不安と緊張を常に感じながらも、少なからず楽しんでいるからだろう。もっと、人と会いたい。何か残るだろうか。何か、ひとつでも。


朝、手紙が届いた。どうもありがとう。




2007年10月17日

帰りの電車の中、暗いところに向かって歩いているような、とても心細い感覚。




2007年10月16日

この個展が始まるまで、ひとりでいる時間が長かったから、人と話すのが楽しい。こんなことを思ったのは初めてかも知れない。とはいえ、人と話すのが苦手なのは相変わらずだけれど。



最近見た映画「9ソウルズ」「息子のまなざし」。
豊田利晃監督の「9ソウルズ」は、絶望に満ちたような世界。幸福の時間は短い。それは往々にしてそういうもの。豊田監督の「青い春」は結構好きな映画で、それに通じる部分も多いかも知れない。「青い春」の方が高校生という面で希望の匂いが強い気がする。
ジャン・ピエール&リュック・ダルデンヌ監督の「息子のまなざし」は、久しぶりに見た、こんないい映画。見ている方の気持ちを高ぶらせるような音楽をまったく使っていないし、言葉も少ない。だからちゃんと映像で見せている。体に染みてくるような映画だった。絶望と希望は隣り合わせだ。と改めて思った。ああ、なんと素晴らしい映画なのだろう。




2007年10月15日

個展が始まりました。今日は色々な人が来てくれて、そんな中で自分は少し話したりしました。嬉しいこともあれば、やはり考えなければいけないことも出てきてしまったり。まあしかし考えるのはあとにします。



2007年10月14日

搬入を終えて帰ってきました。もう、自分の準備はこのくらいです。けれど、実際に展示してみると、自分の絵の弱さが露骨に見えてきたりして、辛くなっていたりします(もちろん気に入っているものもあるけれど)。でももう明日から始まるし。やっぱり見に来てほしいです。とりあえず、今日は寝ます。




2007年10月13日

清澄白河。小山登美夫ギャラリー「落合多武 展 "ひっ掻き  血  または猫彫刻"」「山本桂輔 展    "豊壌"」、シュウゴアーツ「藤本由紀夫『静/聴』」展、hiromiyoshii「キーガン・マックハーギー Bubble Eyes」「榎本耕一 surrogate picture」、Taka Ishii Gallery「ミロスラフ・ティッシー」展など。本当は昨日回った。久しぶりに、じっくりと展示を観たような気がする。なんだろう、大していいとおもうわけでもないのに、絵が壁に掛かっていて、それを自分はゆっくりと静かに見ていくということが、嬉しかった(変な言い回しかな)。目を通して自分の中に色が入ってくる。それを実感する日だった。なんとなくだけれど。あ、でも、キーガン・マックハーギーの作品は、水彩絵具(ポスターカラー?アクリル絵具?)を使っていて、ギャラリーに入ったときに、美術室のようなあの独特の匂いがした。そして、描かれている内容自体にはあまり関心がなかったのだけれども、水彩絵具も楽しそうに思えた。


梱包が終わった。もう夜中。大きな作品が1枚だけあって、これを梱包するためにプロレス並みに奮闘した。四畳半のアトリエ日曜日では難儀だ。大きさはともかく、カンヴァスというのが考えどころだと思う。紙ならば、もっと違う搬入の仕方があるだろうし、お金も安く済むだろう。映像作品なんて、設備が会場に整っていたら、下手すりゃディスク1枚バックに詰め込んで行ける。生活は、制作に大きく関わってくる。自分も、少し考えないと。このままではきっと。
生活が苦しい。経済が切実。




2007年10月12日

きっとまた会う。そうして友達になる。




2007年10月11日

2人のうち1人にはどうしても会いたい人がいた。だから探しにいった。毎日が初詣のように人でごった返す街に。片方は言った。「こんなに人が居たら見つからないよ。帰ろう。」もう片方は道行く人を目で追いながら言った。「こんなに人が居るんだ。あの人だっているかも知れない。」




2007年10月9日

小さな植物を買った。名前が分からないけれど、竹みたいなやつ。なるべく元気そうなのを選んだ。そうやって、雨が振る前に部屋に帰った。




2007年10月8日

個展まであと1週間。この話が決まってから、本当にその日は来るのだろうかと思っていた。でもやっと、その始まりの景色みたいなものが見えてきた。たぶん、こういうときが1番わくわくするのかも知れない。全貌は見えにくい、けれど、ぼんやりと気配を漂わせ、すこし触れそうなくらいが(例えるなら遠足の前夜?)。なぜなら、始まってしまったら、それはもう半分終わっているということだから。けれども少し、不安。いや、相当不安だ!


そしてやはり、観に来てほしいです。これはもう、本当に。月刊ギャラリーという雑誌で、小さく紹介されているのだけれど、展覧会のタイトルが全く違うものになっていて…なんというか、率直に、ショック。一応書いておきますが本当は「そこから」というタイトルです。



帰り道、マーブルチョコを買った。あの、筒型の入れ物に入ったカラフルなチョコレート。懐かしい味。m&mよりも歯触りがよくておいしい。




2007年10月7日

遠くの方で花火のあがる音が聞こえる。




2007年10月6日

一見、制作とは関係ないように思える、生活のなかの些細なことや人間関係を大切にするところから。というような言葉が、今日本屋で立ち読みした雑誌に書いてあった(言っていた人の名前が思い出せない)。




2007年10月5日

自分で言うのは変なことかも知れないけれど、今日は誕生日でした。夜、友人と先生にご飯をご馳走になり、いろいろ話をして、写真を撮って、本をいただきました。美術の本と、間取りの本。


秋にしてはすこし蒸し暑い日だった。それでも今日の帰り道、キンモクセイが咲き始めていた。懐かしく、すこし切ない匂い。




2007年10月4日

くるりのハローグッバイ。あの、最後のメロディに入る前。




2007年10月3日

感覚をまっすぐ聞き入れること。




2007年10月2日

この間失敗したため、今日あらためて東京オペラシティアートギャラリーに「メルティングポイント」展を観に行った。人がほとんど居なくて貸し切り状態。内容はこれといって別に…という感じ。新宿から歩いていても気持ちのいい季節になってきた。でも新宿は苦手。それと、お金が減ったけれど、前から気になっていた本を買った。




2007年10月1日

今日から10月。このところ気温がぐっと低くなっている。もう秋なのだろうか。自分が好きな季節だけれど、毎年2週間くらいで終わっている気がする。


バイトのあと、また駅前のスタバに入ったら偶然知り合いが居て、同じテーブルに着いてしばらく話をした。そういえば、人と話をしたのは何日ぶりだろう(その間まったく口を開かなかったわけではなく、お互いの名前を知っている間柄でのという意味で)。なんだか楽しかった。


それと今日、DMを出しました。郵政民営化して初の日に。朝出したから明日には届くのかな。あんまり傷とか付いてほしくないのですけれど、もしそうなっていたらすみません。あとこれは余談だけれど、お金を払ったあと、窓口のおばさんがポストの形をした貯金箱をくれた。おもちゃみたいなやつ。すこし考えて、せっかくだしと思いもらっておいた。これに小銭を入れていこう。いま入れているのはどこで手に入れたのかも忘れた空き瓶だから。