2016年8月26日

名前を呼ばれて、うれしかった。
照れた顔を見られたくなくて、咄嗟に口を結んでしまった(それはきっと怖い顔になっていた)。




2016年8月14日

秋まで待てなくて、海に行った。
日が落ちる少し前だったので海水浴客ももう居なく、静かだった。

自分がよく行く海は砂浜が広い。
なんとなく、水に触れたくなって、裸足になった。
波打ち際まで歩いていくときの感触。
水を含んだ砂は柔らかく、分厚い絨毯の上を歩いているようだった。
「ズボンの裾、もう少しまくった方がいいかな。」とぼんやり足元を見ていたら波が来てしまいズボンまで濡れてしまった。
まあいいか、とそのままそこに立ち尽くして、どのくらいの間だったか、ぼーっとしていた。
今日は少し波が高くて、何度も何度も足元までやって来た。
海に入ったのは、前回がいつだったのか思い出せないほど遠い昔。
想像していたより水は温かく、水の中に立ちながら写真を撮ったりした。

生温かい風に混じって、ときどき、冷たい風が吹いていた。
秋がくるまで、あとすこしだ。

海はいい。
嬉しさも、哀しさもない。

どこを見るでもなくただ眺めて、波の音を聴いて。
何も考えなかった。
ここに来ると、過去のことも未来のことも、何も考えずにすむ。
またすぐ現実に戻っていくのだけど、ここにいる間は自由になれる。

ここは海と反対の方角に日が沈む。
小高い砂浜を登るとまん丸の夕日が見えた。
完全な姿の夕日を見たのも、いつぶりだろうか。
沈んで消えていくのを見届けて、裸足のまま車に戻った。
車に戻ると同時に、現実にも戻っていった。




















2016年8月11日

映画「Laundry」を久しぶりに見返した。
淋しさを知らなかったテルは、水絵と出会い、彼女を失うことで淋しさを知る。
淋しさのなかに取り残されていた水絵は、テルと出会い、自分の役割を見出す。
いびつで、苦しい、やさしい物語。


彼は、癒してくれない。
でも、洗い流してくれる。


傷口はふさがっても、傷跡は消えない。
でも、その記憶の汚れを洗い流してくれるように、テルはそこに居る。
おとぎ話のようなのに、日々の生活の匂いが、ちゃんとある。
白い鳩が飛び立つシーンは、清々しい。
ふたりのこれからを祝福するように、朝日に飛び交う。