2015年8月14日

サンタフェから戻ってきた。
大きなリスクを張ってせっかく自分の絵を持って行ってもらったのに、何も結果を残すことができなかった。
少なからずある自分の役割を、果たすことができなかった。

ただ、あの土地に連れて行ってもらったことは、とても貴重な経験となった。
自分だけではおそらく行くことはなかった場所で、この目で見て、耳で聞いて、肌で感じてこられたこと。
この機会を与えてもらったこと、とても感謝している。
その分、申し訳ない気持ちが大きい。


街も人も気候も、とても気持ちの良いところだった。
乾燥しているため、気温が高くても日陰に入るとちゃんと涼しい。
夜になると、上着がなければ震えてしまうほど冷える。
そして冬には雪が降るという(サンタフェにはスキー場がある)。




自分の理想の土地かもしれないと、帰ってきてから思う。
空も大地も日本のそれとは桁外れに違う、広い。
広いという言葉では表現できないくらい、広い。
空は青く、雲は白い。
当たり前のもの、すべての色が鮮やかで、眩しかった。
光が澄んでいるのに、濃い。
こんな世界があるのかと、衝撃的だった。
心動かされる自然があった。
あのような場所で暮らせていけたら、色彩感覚も変わるだろう。
違った生き方ができるのかもしれない。






深く付き合うことはないけれど、ほとんどの人々が穏やかで温かかった。
乗りもので隣の座席になった人や、お店の店員、会場で顔を合わせる警備員や事務局の人。
ほとんどの人が笑顔で目を合わせ、声を掛ける。
車を運転していて道を譲るときとか、相手のドライバーが笑顔で手を振ってきたりする。
お店のレジでは後ろにお客が列を作っていても、会計のお客とおしゃべりとか始めてしまう。
でもみんなイライラしたりしていなかった。
一期一会というか、その場に居合わせた名前も知らない人たちで心地よい空間を作り共有する、というコミュニケーションが根付いている。
それが自分にとってはショックだった。
日本ではまずない。
少なくとも自分はそういう場に滅多に遭遇しない。
なんと気持ちのよい人々なのだろう、と思った。
今までに(あまり多くないものの)何度か外国に行ったけれど、毎回、日本の良いところと悪いところが見えてくる。
今回もそうだった。




向こうでは毎日夕立が起こり、そのあとの光はとても美しかった。
偶然、はるか遠いところの嵐を見たのは嬉しかった。
休憩で寄ったスタンドで、大阪のFさんが「秋葉さん、ビカビカ(雷)が見えるよ!」と教えてくれた。
自分が描いている絵が間違ってはいないと分かる一方で、自分の無力さにやりきれなくもなった。


この先の人生、もう二度と行くことはないかもしれない場所で空を見上げたのは、奇跡と言えるだろうか。


写真を載せた。
アートフェアのと、その他のとで分けた。
帰ってきてからすこしずつまとめていたので時間がかかってしまった。