2018年4月1日



久しぶりの日記です。
書いていない間も書きたいことはいろいろあるのだけど、できませんでした。


それで、何からまた始めようかなと考えて、
映画の感想にすることにします。



「プリズナーズ」(2013年)
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演:ヒュー・ジャックマン、ジェイク・ギレンホール


おととしの年末、夜中にテレビでやっていたのを偶然観て、なんて面白い映画なんだと感動しました。
ジャンルとしてはサスペンスです。


小さな工務店を営みながら暮らすケラー(ヒュー・ジャックマン)の幼い娘が誘拐され、家族の幸福は一日にして崩れ去る。
間もなく容疑者として青年アレックスが逮捕されるものの、物証がなく釈放。
アレックスが犯人だと確信しているケラーは、一線を越えて自らの手で彼の口を割らせようとする。
一方で、事件の担当刑事ロキ(ジェイク・ギレンホール)は、粘り強い捜査を続けすこしずつ犯人に迫っていく。


あらすじとしてはこんな感じです。
でもこの映画のすごさは伝えきれない。




映画全体に散りばめられた謎が、最後にはすべて明らかになる。


それと並行して、それぞれの台詞やモチーフが、関係していたり。
ボサッっと観ていたら見逃すほど細かい演出にグッときます。
サスペンスでよくあるのは、事件や謎だけ大げさに盛り上げて最後がイマイチというタイプですが、この映画は違いました。
緻密で、隙がない。
それに加えこの映画の面白いと思うのは、単なる犯人捜しに終わっておらず、それぞれの人間描写(特に父親と刑事)を丁寧に描いているところ。

娘が居なくなったことで崩壊寸前の家族。
精神的に参ってしまった妻からの、
「あなたといれば安心だったのに。わたしたちを守ってくれるって。」
と言われてしまうケラーの心情を思うと、つらくなる。
おいおいそれは言ってあげんなよ、と。
結局この言葉が引き金となりケラーは法律とモラルの一線を越えてしまう。




もう一人の主人公ともいうべき刑事ロキが最高です。
一見ダルくやる気がなさそうで口も悪いけれど、実直に手を抜かず地道な捜査を続ける姿は、静かな熱意を感じます。
泣いている人を前にすると、希望はほぼゼロに近くても「見つけます。」と言い切る。
つらい人をそのまま放っておくことはできない、しない、という信念が垣間見えます。

父親が主人公に思えますが、自分的にはこの刑事ロキの映画でもあるように思います。

それで、ロキもまた辛いところをケラーにつつかれる。
誘拐から一週間して娘の靴下が発見されたとき、ケラーにロキが言われる台詞、
「(娘が死んだのは)あんたのせいだ。」
おいおいそれは言ってあげんなよ、とここでもまた思ってしまう。




ジェイク・ギレンホールがよかったです。
仕草ひとつの表現力がとてつもない。
ロキはYシャツの第一ボタンまでしめて、手やら首やらタトゥーもたくさん入っている。
こういうミスマッチなスタイルもあって、「この人、過去になんかあったんだろうな」と想像してしまいます(少年院に入ってたと言っていますし)。


誘拐犯が見つかっただけでは終わらない、この物語。
ストーリー、伏線、台詞、仕草、音楽、それぞれの演技力。
何から何まで最高でした。

そして、タイトルの「プリズナーズ」という複数形に込められた意味。
最後まで耳を澄まして観るべき映画だと思います。