2008年6月19日

きのうのことを、今日書く。人からチケットをもらったので、国立代々木競技場に「CHANEL MOBILE ART」を観に行った。観覧は無料だけれど、チケットを取らないと観られないシステムで、なおかつ、好きな時間に行くのではなく、入場の時間が決められている。自分は17時だった。ネットで調べて、会場の外観などは知っていたけれど、なんとなくものものしい雰囲気だった。白が基調とされていて、自分は好きな感じだ。あちらこちらに、全身を黒の制服で統一したスタッフが居た。何か護衛している人みたいに見える。ひとりぽつんと、入場前の待ち合い場に居る間、即席に作られ何れは分解されるその建物のなかに身を置いていると、なんとなく、去年ドイツに観に行ったドクメンタを思い出した。規模も内容も違うけれど、すこし懐かしい感じと、あとは、現実離れしたその雰囲気が夢のようで心地いいものがあった。その間も、あちらこちらで真っ黒な格好をしたスタッフがうろうろして、無線で何かぶつぶつ言っている。さて、内容はと言うと、束芋の映像(インスタレーション)と水たまりの反射のインスタレーションが、印象に残っているかな。どちらも、穴や、直接的には見えない映像を観ているあいだは、その中に自分が居たし、時間を忘れそうにもなった。ただもっと強い印象を持ったのは、この展覧会のシステムかな。チケットを事前に予約して取らなければ観られないというのも、最近ではまだまだ珍しいやり方だと思うし、その上、会場に入ったら自由に観られるというわけでもないー会場に入って渡されるMP3プレイヤーを、スタッフが起動すること、なおかつ、音声に従って観なければならないーということが、今まで自分が体験したことのないものだった。こういうの、嫌いじゃない。それと、そのMP3プレイヤーを操作するのはスタッフひとりなので、観客が同時に作品を観始めるということがない。そうやってできたタイムラグが、ひとりの時間をより強調していた気がする。観ている間、そこまで他の人が気にならなかった。最後に、クロークでカタログをもらった。無料なのに、これが大きくて、なぜか2種類ある。これが世界のブランドのオオきさなのかなーなどと思った。会場から出ると、薄ら青みがかった空と、吹く風が気持ちよく、競技場のまわりは高い建物がないので、またドクメンタを思い出した。何枚か写真を撮って、あとにした。駅に向かう途中、外国の歌手のコンサートがあるらしく、たくさんの人。自分は何も見ず、ただ歩いた。


それから、先週開通した副都心線に乗って、新宿三丁目へ。岸田さんも言っていたけれど、まだ新しい路線なので、ホームの空気が新鮮だった(といっても、体には良くないだろうけれど)。写真を撮ろうとしたけれど、やめた。


新宿へ行ったのは、映画「幻影師アイゼンハイム」を観るため。最近いろいろ我慢していたので、映画を観たくなったのだ。内容は期待はずれで、よたよたした展開の上に結末の説得力がない。そういうことに重点を置いていないような映画ならともかく、この映画はちゃんと物語を描こうとしているので、腑に落ちない感じだった。


帰りは、小田急線でたてつづきに人身事故などが起こって、1時間以上も足止めされた。人混みが嫌いなので、自分にとってこれほどの苦痛はなかなかない。