2008年3月28日

上野/上野の森美術館「VOCA展2008」、上野の森美術館ギャラリー「加藤泉 The Riverhead」展、国立西洋美術館「ウルビーノのヴィーナス 古代からルネサンス、美の女神の系譜」展、渋谷/トーキョーワンダーサイト渋谷「トーキョーワンダーシード2008」展、恵比寿/東京都写真美術館「知られざる鬼才マリオ・ジャコメッリ展」、「シュルレアリスムと写真 痙攣する美」展、恵比寿ガーデンシネマ「ダージリン急行」。


「VOCA展」は、あまり印象に残らなかった。自分の感受性が鈍ってしまったのか、ただ心に衝撃がくる作品がないのか、分からなくなった。ああ、でも、関根直子さんの絵は、良かったと思う。どこが?他の作品の散漫さが目立っていたなかで、関根さんの絵はそれとは別の、浮遊感を感じられたから。カタログの文章もちらりと読んだけれど、わりと「絵を描く以前」や「その補助」的な役割になりがちの鉛筆という道具を、ひとつの表現材料として、学生時代から模索していたそうで。そのこだわりみたいな、ある種意地というか、そういう粘り強さみたいなものを感じる。あと、安田悠さんの絵。少々忘れがたい印象がある。この「しょうしょう」というのが、とても大事な気がする。「ヴィーナス展」は、絵よりも、キャビネットや器やカメオなどの生活用品の方がよりよかった。自分はやっぱり、絵にしろ写真にしろ、ヌードには関心がないと改めて気づいた。「トーキョーワンダーシード」は、へえ、という感じ(ここでも「VOCA展」同様、自分の感受性が鈍ってしまったのか、ただ心に衝撃がくる作品がないだけなのか、分からなくなった)。「マリオ・ジャコメッリ」は、「私には自分の顔を愛撫する手が無い」と「スカンノ」のシリーズがよかった。どちらも、写真内の白と黒の塊や形のバランスが、どきりとするくらい緊張感のあるものが多かった。


そして、映画「ダージリン急行」。こんなにおもしろいとは…。正直、映画を観るまではロードムービーというものにあまり関心が無かった。でもインドの美しい景色や、人々の生活、また旅行者の目線からの描き方がとてもよかった。あとは、一見下らない3兄弟のバランスが絶妙で、本編の前についている短編も、いい味を出していたと思う。この他にもいいところたくさん!書くのが面倒なくらい!当たり前なことですけれど、観ないとよさが伝えられない…。